修士論文詳細

専攻社会福祉学 氏名真鼻 弘美 指導教員名空閑 浩人 年度2025年度
タイトル職場における男性から女性へ性別移行する当事者の生存戦略
内容  本研究は、同じ職場で働き続けながら性別移行を行う「在職トランス」当事者(以下、当事者)に焦点をあて、職場内でどのように性別移行を実現しているのかを明らかにすることを目的とした。特に困難が大きいとされる男性から女性への性別移行を行った3名を対象に、在職トランスの経験についてインタビュー調査を実施し、その語りを「生存戦略」としての実践という視点から分析した。
 本研究を通じて、当事者の生存戦略は、周囲の目には映りにくい小さな変化や、女性社員として居続けるための努力を日々丁寧に積み重ねる「蓄積」であることが明らかになった。合わせて、制度や組織文化の未整備により、性別移行の遂行が当事者個人の努力や力量に過度に委ねられている構造的課題が存在することが明らかになった。したがって、当事者が安心して働き続けられるために、特権的立場にあるマジョリティ側が、自らの立場や職場環境を省察し主体的に関与することや、組織文化と制度の両面から支援体制を整える必要性を指摘し、今後の政策形成や職場づくりへの重要な視点を提示した。
キーワード1 性別移行
キーワード2 職場
キーワード3 生存戦略
キーワード4 トランスジェンダー
キーワード5 マイノリティ