修士論文詳細

専攻メディア学 氏名川端奈緒 指導教員名勝野 宏史 年度2024年度
タイトルファスト社会における教養のパッケージ化 ―『中田敦彦のYouTube大学』を事例として―
内容 本研究は、現代社会で進行する「ファスト化」という効率重視の潮流の中で、教養が短時間で手軽に学べるコンテンツへと変容する現象に注目した。特に、①教養の即時性を重視した再編集と、②情動を活用した感覚的理解の促進という2つの要素を中心に、『中田敦彦のYouTube大学』を事例として分析を行った。
分析の結果、ホワイトボードの活用や暗記的要素の省略などによって、専門的な知識を短時間で消費しやすい形に再構成する「教養のパッケージ化」の実態を明らかにした。また、ジェスチャーや声の抑揚、歴史上の人物の演じ分けなどの演出技術が、知識の感覚的理解を促していた。
結論として、教養は従来の知的探求の枠を超え、即座に役立つ実利的な知識へと変容しつつあることが明らかとなった。一方で、断片化や批判的思考の機会の減少といった課題も浮かび上がった。本研究の成果は、効率性やエンターテインメント性が重視される現代社会における教養のあり方を再考し、その中で生まれる新たな可能性や価値を検討する一助となることが期待される。
キーワード1 ファスト化
キーワード2 教養
キーワード3 再編集
キーワード4 情動
キーワード5 パッケージ化