内容 |
本論文では、JGSS-2012データ及びJGSS-2017・2018統合データの分析・比較を通じて、少子高齢化や人口減少をはじめとした社会変動が進行している日本において、社会意識における日本人の宗教帰属の影響が弱まる傾向にあるかを「信者」層・「家の宗教」層・「無宗教」層から成る「宗教的属性」から確かめた。また、宗教的属性を仏教信仰層とその他宗教に分けた場合に関しても分析を行うことにより、日本における伝統宗教である仏教以外の宗教帰属の社会意識に対する影響に関しても確認を行った。
その結果、宗教に帰属する人の割合は基本的に減少傾向にあり、宗教帰属は年齢と密接に関係し、年齢自体が社会意識に対して大きな影響を与えていることを改めて確認することができた。また、「家の宗教層」の特殊性に関して、JGSS-2012においては確かに確認することができたものの、JGSS-2017・2018においては確実に「家の宗教層」の特殊性は薄らいでいると考えられ、「家の宗教層」は「信者層」と「無宗教層」の中間としての性格をより強めている。
伝統宗教としての仏教と仏教以外の宗教で分離した分析では、JGSS-2012を除けば基本的に伝統宗教としての仏教とその他宗教が果たす機能性は同等であると考えられ、伝統宗教の伝統的・保守的な価値観といったものはその他宗教においても否定できない。 |