修士論文詳細

専攻社会学 氏名森口 雄介 指導教員名森 千香子 年度2023年度
タイトル他者性を語るためのシニフィアンとしての「サバルタン」 ——G・スピヴァクのサバルタン論、その再読を通して——
内容  本研究は、36年もの長きに渡って社会学を含む、様々な学的分野において議論され続けてきた、インド出身の思想家、文学批評研究者のガヤトリ・スピヴァクの主著Can the Subaltern Speak?(以下、CSS)を、現在の日本の学的文脈の中で読み直すことを目的としている。
 レフトの知識人たちが不注意に“闘争する被抑圧者”という主体を立ち上げていることを、その背景に西洋中心主義批判を置きつつ批判してゆくCSSは、その唯一の日本語訳に誤訳や誤解の存在が指摘されるなど、その注目の高さに比して、はたして正確に読まれていたのかという疑念が尽きない。
 翻訳の問題を念頭に、そこでのキータームであるサバルタン概念の歴史的変遷やスピヴァクの他の仕事の布置の内にCSSを置くことで、修正訳のコラージュでも議論の後追いでもない“再読”が可能となるのである。
 本研究ではこうした再読によってCSSの知識人批判についての議論を中心的に精査し、スピヴァクのサバルタン概念にとってそれが決定的に重要であったことを示す
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