内容 |
本論文では、日本において特有の発展を遂げてきたCOILについて、日本で認識されてきた役割や大学ごとの運用状況を明らかにすることで、ポストコロナ禍におけるCOILの意義や役割に検討を加えた。具体的には、まず、日本において全国的にCOILが導入されるきっかけとなった2018年度の世界展開力強化事業採択校の計画調書分析を通して、導入初期のCOILにどのような役割が想定されていたのかを明らかにした。次に、現在COILを実施している大学のCOIL担当者へのインタビューを通して、現状のCOILに対する認識や運営上の課題を探った。その結果、日本では、留学の準備学習と専門教育の学びを深める効果的なツールとしての役割が、COILの主な意義として認識されてきたこと、また、コロナ禍での実践の蓄積を経て、国際性の乏しい環境における効果的な国際化手段、また、キャリア教育としてのCOILの有用性が認識されるようになったことも明らかになった。一方で、COILの運営を困難にする課題として、COILの運営が一部の教員に依存している現状が浮かび上がり、多くの調査対象者が、運営による負担を減らすため、COILを縮小・簡潔化することを検討していることが分かった。 |